-
研究課題
高温プラズマの粒子制御,材料の微細構造変化に着目したプラズマ・壁相互作用研究 -
キーワード
- プラズマ制御
- 固体水素ペレット溶発
- プラズマ-壁相互作用
-
研究内容
磁場閉じ込め核融合炉では,粒子供給が最も重要なプラズマ制御手段となります.核融合プラズマにおける燃料粒子挙動の素過程を理解し,核融合炉における燃料粒子制御シナリオを確立することを目的とした研究を行なっています.
高温プラズマへの燃料粒子(水素)供給法の一つとして,数ミリ程度の固体水素の粒(ペレット)を1000 m/s程度に加速して入射する『固体水素ペレット入射法』があります.『固体水素ペレット入射法』は高温プラズマ内部へ直接燃料粒子を供給できるために,磁場閉じ込め核融合炉における高効率な燃料粒子供給法として着目されています.核融合科学研究所に設置されている大型ヘリカル装置(LHD)において,『固体水素ペレット入射法』に関わる以下の研究を行っています.- 固体水素ペレットの溶発研究 高温プラズマ中に入射された固体水素ペレットは,(1)プラズマからの入熱で溶発し高密度の溶発プラズモイドを形成します.その後,(2)溶発プラズモイドが高温プラズマ中に均質化してゆくことによって,高温プラズマに燃料粒子を供給します.これらの素過程を,ステレオ高速カメラや2次元フォトダイオードアレイを用いて観測しています.また,実験研究と平行して,固体水素ペレット溶発と溶発プラズモイドの均質化過程の理論モデリング研究を進めており,固体水素ペレット入射による粒子供給の機構解明を目指しています.
- 高密度プラズマの閉じ込め研究 高密度プラズマの生成・保持は核融合炉を実現する上で,欠くことのできない条件です. 固体水素ペレット入射による高密度プラズマ生成の最適化を行うとともに,固体水素ペレットの連続入射による定常保持に関わる研究を推進しています.また,高密度プラズマの閉じ込め特性を調べることによって,将来の核融合炉に外挿し得る粒子制御シナリオの策定を目指しています.
- 固体水素ペレット入射装置の開発研究 LHDにおいて,固体水素ペレット入射実験を遂行するために必要となるペレット 入射装置の開発研究を行っています.さらに,将来の核融合炉で必要となる,定常射出が可能な連続ペレット入射装置の開発研究も進めています.
プラズマ対向壁にはプラズマ粒子が入射し,壁材料に影響を与えます.また,壁に入射した水素やヘリウムが再び壁から出てきて,高温プラズマに戻ることもあります.このようなプラズマと壁材料がお互いに影響を与え合うことは『プラズマ・壁相互作用』と呼ばれており,材料特性の観点からも,プラズマの粒子制御の観点からも重要な研究分野となっています.材料表面の微細構造変化と水素やヘリウムの挙動を調べることによって,プラズマ・壁相互作用の素過程の機構解明を目指しています.特に,核融合炉のプラズマ対向材料として期待されているタングステンという金属のプラズマ・壁相互作用を調べるために,電子顕微鏡などの微細構造を分析する装置を用いて,プラズマ照射がタングステンに及ぼす影響を調べる研究を行っています.