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核融合研連携講座の宋定宝さんの研究成果がJournal of Quantitative Spectroscopy and Radiative Transfer誌に掲載

 プラズマ量子プロセスユニットの連携講座である九州大学大学院総合理工学府総合理工学専攻プラズマ・量子理工学メジャー・原子・分子・光科学研究室の宋定宝さんの研究論文がJournal of Quantitative Spectroscopy and Radiative Transfer誌に掲載されました。

【論文概要】

レーザー生成プラズマ中のビスマス(Bi)多価イオンの水窓発光線(20–40 Å)は、生細胞の生物顕微鏡観察用光源として有用である。しかし、高密度レーザー生成プラズマでは広い価数にわたる擬連続的な発光線の重なりにより、その正確な同定は困難であった。本論文では、核融合科学研究所の小型電子ビームイオントラップ(CoBIT)を用いて、各価数のBi多価イオンからの水窓領域における発光線を同定することに成功した。そのために、CoBIT内でのBi多価イオンの詳細な原子過程を考慮した衝突・輻射モデルを独自に構築した。観測された発光スペクトルは、CoBIT内におけるBi多価イオンの価数分布に応じて明確な特徴を示すこと、そこでは準安定励起状態の存在が重要な役割を果たしていることを明らかにした。

【論文情報】

“Water window soft X-ray spectra of Ce- to Gd-like Bi ions in an electron beam ion trap”

Dingbao Song, Hayato Ohashi, Hiroyuki A. Sakaue, Nobuyuki Nakamura, Daiji Kato

Journal of Quantitative Spectroscopy and Radiative Transfer, Volume 347 (2025) 109621.

DOI: 10.1016/j.jqsrt.2025.109621

URL: https://doi.org/10.1016/j.jqsrt.2025.109621

【謝辞】

本成果は、NIFS一般共同研究(NIFS17KBAF029、NIFS25KIIQ015)の支援を受けて行われたものです。また、宋定宝さんはJST次世代研究者挑戦的研究プログラム (JPMJSP2136 )からの支援を受けています。