新着情報

  • 位相空間乱流
  • お知らせ

位相空間乱流ユニット「ティータイムセミナー」のご案内(3月6日)

2026年3月6日(金)13:00より、弥冨豪先生をお迎えしてティータイムセミナーを開催します。ぜひご参加ください。

【 場 所 】 ハイブリッド(対面: NIFS研究棟I-401セミナー室、オンライン: MS teams)

【 話し手 】 弥冨豪(位相空間乱流ユニット) 

【 題 目 】 「特異値分解と情報エントロピーを用いたプラズマ科学の非線形現象の解析」

【 内 容 】 

従来の乱流研究は主にフーリエ波数分解による「エネルギー論的」手法に依拠し、モードごとのエネルギー移動や分散関係を理解するために乱流エネルギーのパワースペクトルを調べてきた。しかし、この方法は統計的な一様性を仮定し、周期空間における一様平面波で乱流を表現するため、局在的な乱流構造や空間遷移を捉える能力が制限される。

そこで本研究では、従来の特異値分解(SVD)を拡張した「多重場特異値分解(MFSVD)」を導入し、あらかじめスケール分離を課すことなく複数の乱流場を同時に分解できるようにする。Hasegawa-Wakatani方程式で記述される2次元多重場プラズマ乱流への適用を通じて、非線形相関の解析における有用性を示す。従来のSVDを拡張することで、複数の乱流場をひとつの直交基底系で同時に分解できるようにし、スケール分離を課すことなく扱うことが可能になる。そして、特異値でラベル付けされたモード振幅に加えて、乱流輸送流束や三重モード相互作用といった非線形量における位相関係の情報をSVDモード空間上で抽出できることを示す。

さらに、多重場乱流の非線形力学やパターン形成を探る新たな枠組みとして、情報エントロピーを定式化する。乱流状態を量子状態に類似した密度行列で記述し、そこからvon-Neumannエントロピー(vNE)およびエンタングルメントエントロピー(EE)をMFSVDの形式に基づいて導出する。Hasegawa-Wakatani方程式に基づく時空間乱流に情報エントロピー解析を適用した結果、従来の場のエネルギーに基づく閾値とは大きく異なる、vNEに関する新たな非自明な遷移閾値が発見された。また、乱流における非線形相互作用に対するEEは、非線形モード結合の強さや正味のエネルギー輸送の方向に関する情報を抽出できることが明らかとなった。さらに、EEを乱流計測へ応用し、揺動場を再構成する技術につながる可能性も示される。

さらに、位相空間における乱流構造を効果的に解析するための手段として、上記のSVD+vNEの解析手法をジャイロ運動論シミュレーションで得られた分布関数揺動に適用する。GKVの非線形計算から得られた分布関数を各波数成分について特異値分解しvNEを計算することで、分布関数の位相空間構造の波数依存性を解析する。その結果、波数の大きさが増加するにつれ位相空間構造が微細化されることを定量的に示した。さらに、Hermite-Laguerre展開による解析により、vNEの増加の要因として主に平行方向速度の分布の波数依存性によることが示唆された。

【 問い合わせ 】 西浦正樹(nishiura.masaki@nifs.ac.jp)