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加藤太治教授らの研究グループの研究成果がPhysics Letters A誌に掲載

 核融合科学研究所 プラズマ量子プロセスユニットの加藤太治教授らの研究グループ(東北大学、ヴィリニュス大学(リトアニア)との共同研究)により、中性子星合体で観測されたキロノバの理解に必要なランタノイドイオンの電磁波スペクトルデータの統計分布について研究成果をまとめ、その論文がPhysics Letters A誌に掲載されました。

【論文概要】

ランタノイド元素は、重力波(GW170817)によって検出された中性子星合体からの紫外線・可視光・赤外線放射(キロノバ)の不透明度において重要な役割を果たす。本論文では、1価のランタノイドイオンの擬連続スペクトルの分布に対する有用な統計的表現を、第一原理計算のデータに基づき検討した。その結果、高次のエルミート多項式展開を用いることで、準位エネルギーの統計分布に対する改良された表現を得た。吸収線強度の統計分布は、大きな線強度の値の頻度分布は「べき則」に従って減衰し、相関の無いランダムな事象の頻度分布を表すカイ二乗分布では記述できないことが分かった。そして、広範囲にわたって対数ロジスティック分布(所得の統計分布に適用されるFisk分布)に従うことが判明した。また、本分布のスケーリングパラメータは、キロノバの輻射輸送シミュレーションに含める吸収線強度の最小値を示す指標となることも示された。

【論文情報】

“Statistical analysis on level energies and effective line strengths of singly ionized lanthanides for opacity of kilonovae”

Daiji Kato, Masaomi Tanaka, Gediminas Gaigalas, Laima Kitovienė, Pavel Rynkun

Physics Letters A, Volume 558 (2025) 130884.

DOI: 10.1016/j.physleta.2025.130884

URL: https://doi.org/10.1016/j.physleta.2025.130884

【謝辞】

本成果は、JSPS二国間交流事業 (JPJSBP120234201) とResearch Council of Lithuania (No S-LJB-23-1) の支援を受けて行われた共同研究によるものです。