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名大・天野浩先生の特別講演会を開催しました(5月15日)

 令和6年5月15日に、名古屋大学未来材料・システム研究所の天野 浩 教授を研究所にお招きして、可知化センシングユニットセミナーとして特別講演会を開催し、所内外から約200名(現地約70名、オンライン約130名)の参加者が集まりました。以下に詳細を報告します。

特別講演会の様子。第一会議室が満員となった

 「青色LEDの社会実装までの軌跡と将来の可能性」と題したご講演の前半には、先生が研究に興味を持たれた経緯やこれまでの研究経歴について、故赤﨑勇先生との思い出や学生時代の苦労話等を交えてお話しいただきました。2014年のノーベル物理学賞の受賞発表時に海外ご出張中であったエピソードには、会場から多くの笑いが起こっていました。また、窒化ガリウムの高品質な結晶成長に成功したことがブレークスルーとなり、青色LEDとして社会実装に至るまでの過程について、一般の聴講者にもわかりやすくお話しいただきました。青色LEDの市場が一兆円にまで成長するまでの過酷で長い道のりについて拝聴し、社会実装を意識した地道な研究の重要性について再認識しました。天野先生が説く実験研究の楽しさ・やりがいが、聴講した多くの学生や若手研究者にも伝わったことと思います。

 講演後半には、天野先生が最近精力的に取り組まれている人材育成プログラム(卓越大学院・DIIプログラム)について解説いただきました。ビジネス/エンジニアリング/サイエンスの3タイプの人材を相互に連携しながら育成することで、イノベーションの加速を促進することを目指されており、プログラムで創出された具体的成果についてご紹介いただきました。

 また、カーボンニュートラルに向けた蓄電システムや高効率電気回路の実現には窒化ガリウムを使ったパワー半導体デバイスの導入が必須であること、他の半導体材料との比較や優位性について詳細に解説いただきました。窒化ガリウムを基軸とした天野先生の研究戦略において、青色半導体レーザーや高効率電源などのデバイスが核融合研究にも大きく貢献可能であることを再確認しました。天野先生が講演の最後に残した「核融合炉の社会実装を担うのは現在の小・中・高校生である」というお言葉が心に響きました。

実験研究の楽しさを説く天野先生
質疑応答の様子。質問者は可知化センシングユニットの田中謙治教授

 約80分間のご発表ののち、約40分にわたって質疑応答・討論のコーナーを設けました。学生のモチベーション維持の秘訣や研究マインド、今後のパワー半導体の開発戦略、核融合応用の見込みなど、現地・オンラインの聴講者からの多数の質問に対して丁寧にお答えいただきました。講演会の後には、所内食堂にて懇親会を開催し、天野先生を囲んで活発な議論を交わしました。

 最後に、素晴らしいご講演をしてくださった天野先生、ならびにご聴講いただいた大勢の皆様に心よりお礼申し上げます。可知化センシングユニットでは、今後もユニットセミナーを定期開催し、研究アイデアの創出や共同研究促進に役立つホットな話題を、皆様に公開する形で提供してまいります。

懇親会での記念写真

お問い合わせ: 可知化センシングユニット長 uehara.hiyori@nifs.ac.jp