構造形成・持続性
Structure Formation and Sustainability
  • 核融合科学としての課題

     磁場閉じ込め核融合研究の中心的な目標の1つは、流れの中に置かれた開放系である高温プラズマの閉じ込めを維持するための、効率的な方法を確立することである。磁場によるプラズマ閉じ込めは、静電場や重力場による閉じ込めほど単純ではなく、磁場中のプラズマの平衡分布でさえ完全には理解されていない。単一荷電粒子のダイナミクスと衝突輸送における磁場形状の効果はその大部分が解明され、先進的な磁場配位の設計に応用されてきたが、閉じ込め改善を含むプラズマのグローバルな構造形成における磁場の役割は、未解決の問題である。

  • 学術的な定式化

     本ユニットでは、これらの核融合科学の課題を、構造形成の物理とその持続性の問題として捉える (Fig. 1)。中心的な問いは、エネルギー、運動量、および物質の流れの中で、自明ではない不均一な分布がいかにして現れ、維持されるか、である。不均一性、すなわち「小エントロピー構造」の自発的な形成とその持続可能性は、開放系に共通する問題と言える。磁場がもたらすダイナミクスの対称性や階層性など、核融合プラズマに内在する自由度を活かすことで、揺らぎを含むシステムにおける状態の蓋然性を支配する基本原理に迫る。

  • 研究の進め方

     プラズマ全体をシステムとして捉え、実験と理論の協働により、核融合科学に基づく複数の観点から研究を展開する。非熱的粒子の位相空間物理、磁場存在下での不変測度と構造形成、系の対称性、多粒子種輸送、拡張MHD理論およびシミュレーション、そして、構造形成とエントロピー生成率との関係などの研究に取り組む。核融合指向の重要目標は、プラズマの構造形成における磁場の一般的な役割を明らかにし、磁場配位の最適化の新しい指針を確立することである。磁場配位だけでなく、それを実現する装置や炉システム自体を包含した研究も行う。

    Fig. 1: Inter-disciplinary perspective of structure formation of fusion plasma in this Unit.

研究組織

・ 研究戦略会議メンバー(所外)

研究成果

構造形成・持続性

連絡先

Email:sfs